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旅とは「選択」である。ーー国際基督教大学大学院 塩飽泰啓さん【Youth Interview】

人はなぜ世界を周るのか?

「世界一周」を文化人類学の観点から研究されている国際基督教大学大学院の塩飽さん。多くの人を惹きつける「旅」の魅力とはいったいなんなのでしょうか?

大学での研究テーマは「世界一周」

――「世界一周」について研究しようと思ったきっかけはなんですか?

きっかけは、僕自身が休学して旅をしていたことです。 
大学3年生が終わった時に、何をするか全く決まっていない状態で休学して「とりあえず海外に行ってみよう」と思ってトルコへ一人旅に行きました。
1度海外に行ってみたら結構楽しくて、その後もいろんな国を、1ヶ月ずつくらいで周りました。

その中で、世界一周をしている旅人がすごくたくさんいて、仲良くさせてもらったんです。 
いろんな話を聞いたのですが「なんでこの人たちは世界一周をしているのかな?」という疑問を持ちました。

復学後、4年生なので卒論のトピックをどうするかずっと迷っていました。
その時に、そういえば世界一周をしている人たちがいっぱいいたぞ、この人たちの話を聞いたら面白いんじゃないか?と思ったのが始まりです。

そのまま「世界一周」をテーマに学士の卒論は書いて、もっと続けたいと思ったので大学院に進学してその研究を続けています。

『旅って俺にとって救いだよね。』

――これまでたくさんの旅人をインタビューした中で、1番印象的だった方がいたら教えてください。

この研究を続けるきっかけになった旅人の方のインタビューが1番印象に残っています。その方とはカンボジアで出会って、すごく仲良くしてもらい、2週間ほど一緒にいました。綿密に計画を立てられていて、3年くらい世界一周をすると決めて旅している方でした。

「なんで世界一周をされているのですか?」と聞いたら

「日本にいたら俺、救われないから」とおっしゃったんです。

そして、インタビューの最後に、「あなたにとって、旅とはなんですか?」と聞いたら 

「旅って俺にとって救いだよね」とおっしゃっていました。

普段はとても明るい方で、全然そんな言葉が出るとは思わなかったので、「救い!?救いって何だろう?」と驚きました。

そこから、研究としても深みがでてきて面白くなりました。

旅の魅力は「人」にある。

――塩飽さん自身もいろんな国を旅されていますが、その中でも特によかった国があれば教えてください。

これはもうずっと「ギリシャ」「ラオス」「イラン」の3つが不動かなという気がしています。 その3つは、全体を通して「人」がよかったです。

最初の1人旅がトルコで、次に行ったのがギリシャだったのですが、ギリシャはいろんな人に出会った初めての場所でした。

ラオスは、少し違った意味で人がよかったです。
東南アジアの、ガツガツした客引きなどに疲れていた時期にラオスに行ったら、割と他人に興味ないみたいな感じだったんです。
いい具合に、他人に興味がない人たちで、そういうのもいいなと感じました。

イランは、すごく危ないと思っていたイメージとは全然違ったことが印象的でした。
行ってみたら向こうの人はすごくオープンで、いろんなことを知りたい知りたいと聞いてくれたり、いろいろ手厚くサポートしてくれたりもしました。

「人」が重要なファクターなんだと思います。
僕にとっての旅の魅力は「人」なんですよね。
「人の価値観」を知ることがすごく好きです。

旅先で出会った人たちが、何を考えているのかということを知れるのが、すごく魅力的に感じるところです。

――旅を楽しむために、意識されていることなどはありますか? 

やはり、現地に行ったら現地の人と何か関わりを持った方が楽しいのかなと僕は思います。
常にそうしているべきとは言いませんが、一瞬でもいいから、現地に染まる。
染まって、自分にはこういう一面もあるんだなというのを発見していく。

とにかく、向こうに行ったら、向こうに行った時の自分を楽しむということですね。

旅とは「選択」である

――塩飽さんにとって、「旅」とは何ですか?

僕は、旅とは「選択」だと考えています。

旅は、嫌々行くものではありません。 
そもそも、旅に出るか出ないかを決めるというのも1つの選択ですし、どこに行くか、行かないかを決めるのも選択です。

旅人にインタビューすると、
「あなたにとって、旅とは何ですか?」と聞いて
「旅とは人生です」と答える人が多いです。

僕も、旅と人生は似ているんじゃないかなと思います。 
人生は、いろいろ選びとっていって、自分の決断で作っていくものですけど、 旅も同じですので。 
最終的に自分が何を選んでいくのか、何を選択していくのかというところに尽きるので、旅とは「選択」だと僕は考えています。

 

――日本の若者の中には、海外に興味がないという方や、興味があっても海外にまだ行ったことがない方も多いと思います。そんな若者についてどう思われますか?

僕は正直、海外に行きたくないと思っているなら、別に行かなくてもいいと思っています。その人たちが「海外に行かない」という選択をしているわけで、海外に興味のない人たちまで絶対海外に行かなきゃいけないとは思わないです。

僕は本当に、自分自身で決めて欲しいなと思っています。 僕らは、選択肢を提示することはできますが、最終的に決断するのはその人なので。

別に、海外に興味がなくて「僕はもう一生日本から出ません」と言うのであれば、それはそれでありですその先になにがあるかは分からないですが、そういう信念がある人も僕はいいと思います。 いろんな人がいるので、その多様性を認めることが僕としてはいいことなんじゃないかなと思っています。

ただ、僕は海外に出ることを経験してその面白さを知っているので「海外行った方が面白いんじゃない?」と言いますけどね。

 

<プロフィール>

塩飽泰啓[しわく やすひろ]さん

国際基督教大学大学院生。大学4年のときに1年間休学し、世界50ヶ国を旅する。復学後に「世界一周」をテーマに研究を始め、現在は国際基督教大学大学院修士課程にて研究を続行中。世界新聞(http://sekaishinbun.net/)やTravelers Box(http://www.travelersbox.jp/)など、旅のウェブメディアでライター活動もしています。

YouthSpeak Media編集部

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YouthSpeak Media編集部。NPO法人アイセック・ジャパンのメンバーが中心となって運営しています。

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