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「外食するなら予約しよう」立教大学4年=テーブルクロス代表取締役・城宝薫さん

飲食店を予約した人数分の給食が途上国の子供たちの給食になるソーシャルサービス型グルメアプリ「テーブルクロス」。
そこには学生で起業するという大きな選択をした女子大生社長の子供たち、そして人々の幸せに対する熱い思いが込められていました。

 

(テーブルクロス代表として思いを語る立教大学4年・城宝薫さん ※2015年当時)

 

数字ではなく、誰かのためになる仕事を

――大学3年生でテーブルクロスを設立していますが、どうして起業しようと決意したのですか?


1つには社長になりたいという思いがあったからです。

祖父が起業家だったのもあり小さいころから社長という職には憧れがありました。
自分ではあまり覚えていませんが、小学生の頃から「私は社長になる!」と周りに公言していたそうです。

テーブルクロスというサービスを開発した背景には、広告会社で営業のアルバイトをしていた時の経験があります。

営業は数字を追い求める世界ですが、もともと人の幸せのために頑張れるタイプの私はそれが嫌で仕方ありませんでした。
そうやって仕事を続けていくうちに、いつしか「数字ではなく誰かのためになる仕事がしたい」という思いが芽生えていました。

もともと「海外×教育」という分野に興味があったのと、誰かを幸せにする仕事がしたいという思いが重なった時、このテーブルクロスが誕生しました。


――現地視察ではカンボジアにも行かれていたそうですね。実際に自分の目でみた現地の様子はどうでしたか?


給食支援先を実際に訪れたときの衝撃は今でも忘れられません。

都市部は観光地化されていてもそこから少し離れると景色は全く違う、というのは以前からよく聞く話だったので想定の範囲内でした。
私にとって衝撃的だったのはカンボジアの悲惨な過去とそれとは対照的な現在の子供たちの姿でした。

(カンボジア視察にて、カメラに笑顔を向ける少年たち)

 

カンボジアにはポルポト政権時代に教師や医師が全員殺害されたという歴史があります。
今でこそ教師も医師も増えてきましたが、少し前までは近隣国からわざわざ来てもらっているような状況でした。

悲惨な過去があり教育や医療を十分に受けられず決して恵まれているとは言えない状況のなかで、子供たちの笑顔はきらきらと輝いていました。

 

(城宝さんの腕をとり何やら楽しそうにお話しするカンボジアの子供たち)

 

あの子たち、無邪気に笑っては私のもとに駆け寄ってきて本当に可愛いんです。
そんな子供たちの姿を見たら、私にできることは彼らに給食を届けるということだけど夢をもってこれからも教育支援を続けていきたいなと改めて強く思いました。

失敗はしてから考えればいい、大事なのはやってみること

 

――学生で起業することにはリスクがたくさんあり相当の覚悟が必要だと思います。テーブルクロスを設立すると決めたとき、正直不安ではありませんでしたか?


0から1をつくり何かを立ち上げることには抵抗がないのと、「やってダメならその時考えよう!」というポジティブな性格のおかげで会社を立ち上げる時に不安や戸惑いはほとんどありませんでした。

正直、女子大生社長と呼ばれることには今でもあまり慣れていないですし、周りからも「大丈夫なの?」と心配されることが多いですが(笑)周りの人がとても支えとなってくれているおかげで今の私があるのだと思います。

やはり仲間の存在ってすごく大きいなと実感しています。


――何かを新しく始めることに抵抗がないという城宝さん。過去には学生団体「Volante(ボランチ)」も立ち上げていましたよね。


Volanteは大学一年生の春に立ち上げました。
きっかけとなったのは日本の発信力に危機感を覚えたことでした。

私の出身地である千葉県・浦安市はアメリカのフロリダと姉妹校流を結んでいて、その縁から高校1年生の時にプログラムの一環でアメリカへと派遣されました。

プログラムでは小学校・中学校などの教育機関から孤児院まで回っていたのですが、その時に見た生徒たちの反応に衝撃を受けました。
先生の一言に対してみんなが「私にあてて!」と言わんばかりに手をあげて自分の意見を伝えようとするのです。

日本の教育機関ではなかなか見られないこの状況に、「あ、日本って負けるんだな。」と幼いながらにも危機感を覚えました。


日本がどれだけいいものをもっていたとしても、この「強調性」や「積極性」がないとそれを世界に伝えていくことはできない。
そこに問題意識があったので、表向きでは「メイドインジャパンを元気にしよう」を、裏向きには「グローバル人材の輩出」を目標に掲げ仲間を募ってVolanteを立ち上げました。


――自分の持っている問題意識を行動に移し形にするというのは、そう簡単なことではないですよね。実際に学生でそこに悩む人は少なくないと思いますが?


私も自分の思いを形にすることはそう簡単なことではないと思っています。

私だって自分が問題意識を持っていたときに、たまたま今の仲間と出会って時期が重なって「こりゃ起業するしかないな」という感じでテーブルクロスを立ち上げましたから。
でもその時には直観が働いたというか、「今まで自分がやってきたことはこのためにあったんだな」と脳が勝手に判断したんです(笑)どちらかというと私は仕事に呼ばれたという感じですね。

自分の軸というものは、いる環境ごとに変わってもいいんじゃないかなあなんて思ったりもします。

学生は何をやるにしても必ずリスクが伴ってきますが、私は問題に突き当たるまでマイペースに突き進むことを心がけています。

起業するにしても、失敗することを考えて一歩進もうか悩むよりとりあえず一歩進んでみる。
これからどうしようかというのはその後から考えていたような感じですね。


――「社長になる」という小さいころからの夢を叶えた城宝さん。これからの夢はなんですか?

 

(テーブルクロスの給食費の一部は国連WFPを通して途上国の子供たちに送られている)

 

今は2つの夢があります。

まずは、経営者としてテーブルクロスを発展させ「予約したら寄付」という文化を日本に浸透させること。

本来NPOは非営利団体ですが、アメリカのNPOで利益を追求するファンドレイジングの仕組みを見たとき「利益の創造と社会への貢献が同時に実現できる組織」がこれからのファッションになるんじゃないかと思いました。利益を追求しつつも誰かの幸せのために働く、という組織文化がテーブルクロスを通して発展していけばなと思います。

もうひとつは良いお母さんになること。

これは社長になってその夢から少しかけ離れた気はするのですが(笑)持ち前のポジティブさとマイペースさを武器に、わたしはわたしらしく自分のペースで夢に向かって進んでいきたいと思います。

 

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<プロフィール>

城宝薫[じょうほうかおる]さん

2012年立教大学入学。4月からアイセックのメンバーとして活動する。2014年、株式会社「テーブルクロス(http://tablecross.com/)」を設立し大学3年で代表取締役となる。現在も事業拡大と子供たちの笑顔のために経営者として日々奮闘中。

 

(この記事は2015年に記載されたものです。)

YouthSpeak Media編集部

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YouthSpeak Media編集部。NPO法人アイセック・ジャパンのメンバーが中心となって運営しています。

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