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「外国人」だから気づけること【海外インターンシップ体験記】【連載2】【フィンランド】 神戸大学2年 三澤真菜

こんにちは!神戸大学2年の三澤真菜です。

私はフィンランドの首都ヘルシンキで

難民女性の社会統合・社会進出のサポートを行うインターンシップに参加しています。 今回は、私が「外国人」として過ごす中で気づいた問題点について書きたいと思います。


フィンランドと日本って似ている!?

私がボランティアを行っているフィンランドは、日本と同じ先進国です。

交通機関は発達しているし生活水準も高い。

治安も良い国であるため、日本との共通点がたくさんあります。

その中で、「国民性」もまた似ている部分があると感じました。


フィンランドの人々は、パーソナルスペースを大切にします。

電車やバスに乗ってもできるだけ他の人がいない席に座ろうとするし、知らない人には話しかけないのが普通です。

また、スーパーマーケットや駅の標識は全てフィンランド語ともう一つの公用語のスウェーデン語しかありません。なので、そのどちらも知らない私は何も理解できません。

フィンランドは日本に比べて英語を話せる人の割合が大きいですが、

中には英語を話せない人もいて、何かを尋ねても答えを得られないことがありました。


言語は分からないし、人々も話しかけにくい…

フィンランドは良い国だけど、外国人は少し暮らしにくいなぁ。


と感じたとき、「これって日本に来た外国人が感じることと同じなのではないか」

と考えました。

日本も、ほとんどの標識は日本語で書かれているし、外国人に対して積極的に話しかけるような雰囲気ではありません。

ということは、私がフィンランドで生活をすることは「外国人から見た日本」を少しでも理解することに繋がるかもしれない、と感じました。


また、日本での生活を思い返せばフィンランド人の気持ちを理解できるかもしれないし、フィンランドで感じたことを振り返れば難民の気持ちを理解できるかもしれない。


この立場を活かし、インターンシップ中盤では難民とフィンランド人両方の視点からの

考えを聞くことができました。


難民・移民対象のスタートアップイベントのスタッフをした時の写真


Close relationship の大切さ

私たちは、主に難民女性を対象に英語を教えていますが、

週に2日は性別を問わないクラスを開講しているので男性の生徒もいます。

以前、私が担当したある男性生徒の話が印象的でした。



彼は、イラク出身で3ヶ月前にフィンランドに来ました。

紛争で母国を去ったあと、2年間スウェーデンに住んでいたそうですが、

最初に入国したEU加盟国でのみ難民申請を行うことができると定めたダブリン協定*の

影響でスウェーデンでは難民申請ができず、フィンランドに来ることになりました。

彼の話によると、スウェーデンでは従妹と一緒に暮らしていて仲の良い友達もいたそうです。


*ダブリン協定

EU内における難民申請のルールが定められた協定。二重の難民申請を避けるため、難民はEUの中で最初に入った国で難民申請を出さなければならないと定められている。

(参考文献:「和の手を世界に-Japan for Refugees」)



「家族とは離ればなれになったけど、スウェーデンでは ”close relationship” があって自分がよそ者だとは感じなかった。でも、フィンランドに来てからは自分がよそ者だとすごく感じる。スウェーデンに帰りたい。」


スウェーデンに住むとしてもフィンランドに住むとしても

「母国を去らなければならなかったこと」

「家族と離ればなれになったこと」

は変わらないですが、彼にとっては

「従妹や友達がいるスウェーデン」「よそ者だと感じるフィンランド」

という大きな違いがあるのです。

そして、どれだけスウェーデンに戻りたくても、協定上戻ることはできません。


でも、もし彼がフィンランドで「友達」と呼べる関係の人々を作ることができたら

少しは希望を持ってフィンランドでの生活を送ることができるのではないか。


新しい場所で、新しい生活をスタートするためには人間の基本である

 「close relationship」が必要であり、

そのためには現地の人々の努力も重要になってくると感じました。


天然の岩をくり抜いて造られたテンペリアウキオ教会


日本で知り合ったフィンランド人の友達と遊びに行ったときの話。

ごはんを食べていたとき、私のボランティアの話になりました。

私がフィンランドでどんなことをしているのかを話したあとに、彼女が私に尋ねました。


「難民の人たちは良い人?」


「???」初め、質問の意味があまり理解できませんでした。

私が今まで関わった難民の人たちはそれぞれ素敵な個性を持っているし、

勉強に対する意欲や才能もある。

もちろん彼らは「良い人」だけど、今まで「良いか悪いか」を考えたことがありませんでした。

なぜ彼女は「良い人か悪い人か?」という疑問を持ったのだろう?

詳しく話をきいていくと、フィンランド人の多くは難民に対して良いイメージを持っていないということが分かりました。メディアでは、難民が犯罪や暴力をした、というような悪いことばかりが取り上げられているし、難民男性に長時間見られていたという経験がある女性も多いのだそう。


だから、フィンランド人の間で難民の人々に対する悪いイメージが形成されてしまっているようです。

でも、全ての難民が犯罪行為をする訳ではないし、難民以外の人でも犯罪を行っています。また、男性に長時間見られたという経験は事実だったとしても、それが難民の人だったかどうかは分かりません。


それでも、人々の間では難民を「一人一人の人間として」ではなく、

「難民という全体」で捉え、悪いイメージを持ってしまっているのです。


「個人ではなく全体で捉えてしまう」


これは私たちがよくしてしまう思い込みであると思いました。

またそれと同時に、私は難民ではなくフィンランドに住んでいる訳ではないので

今は第三者として考えられていますが、もしこれが日本だったら…

私も同じように難民を「全体として」捉えてしまっていたかもしれないと思いました。

第三者だからこそ気づけること、を大切にして帰国してからも意識していきたいです。


そして、彼女の質問「難民の人たちは良い人?」に対する答え。

「少なくとも、私が今までに会った人々はみんな良い人だったよ。それぞれが素敵な個性を持っていたし、話していて私たちと『同じ』一人の人間だってすごく感じた。」


私の回答によって彼女にとっての難民のイメージを変えることができたかは分かりませんが、難民の当事者の方々と実際に交流することができた以上は、

人々の間に形成されてしまった「難民=悪い」というイメージを、

私の経験を伝えることで少しでも変えていきたいと思いました。



次回は、私たちが普段行っている英語クラスについて書きたいと思います。


ウィークリーミーティングの写真


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三澤真菜

三澤真菜

神戸大学経営学部2年。フィンランドの首都ヘルシンキで難民女性の社会統合・社会進出のサポートを行うインターンシップに2018年2月から参加。 「読んでくれた人に希望を与えられるような記事を、読者に近い存在で書きたいです!」 *所属/学年は2018年3月現在

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