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スラム街で見たフィリピンの現実。そこで感じた、先進国に生きる人の使命。【海外インターン体験記】慶應義塾大学 田中康雅

こんにちは。フィリピンで海外インターンシップをしている田中康雅です。

今回は、現地の方に案内していただいて訪問したフィリピンのとあるスラム地域の様子をレポートします。

 

様々な問題が複雑に絡み合うフィリピンのトンド地域

フィリピンの中でも特に貧困地域として有名なトンド地域。人口密度が非常に高く、なんと日本で最も高い東京都豊島区の約3倍です。

スモーキーマウンテンという非常に危険なスラム街があることで有名です。

この地域にあるスラム街のすぐ近くに、海外のお金持ちの方でフィリピンの貧しい子どもたちのスポンサーになる方を探して、スラム街の子どもに給食の提供や教育などといった生活支援を行う施設があります。

ここでインターンをしている日本人学生に連絡をとって、僕のインターンが休みの日に子どもたちに向けた授業のお手伝いをしてきました。

この施設の代表の方に、「この地域はどのような課題に直面しているのですか?」と質問すると、「学校や病院に行くお金の不足、空気汚染、食料不足、栄養不足、衛生環境、ドラッグ、奇形児など、様々な問題が複雑に絡み合っていて解決は容易ではない」とのことでした。

 

折り紙の授業をサポート。笑顔を見せる子どもたち

授業では、10人ほどの小学生たちに対して、折り紙とは何かを説明した後に、手裏剣、相撲取り、カエル、紙飛行機などを作って一緒に遊びました。

授業が終わった後、子どもたちは僕の名前を覚えてくれて、「やす!やす!」と名前を呼んで抱きついてきました。

屈託のない笑顔に、ボランティアで来ているはずの僕の方が元気をもらいました。

でも、この子どもたちが帰る家は、スラム街なのです。授業中は、その事実を信じることができませんでした。

スタッフの方に事前にお願いしていて、授業の後、スラム地域の中でも比較的安全な場所を案内していただくことになりました。

 

初めて自分の目で見たスラム街の現実

施設にあったスラム街に行く人用の長靴を借りて靴を履き替え、スラム街へと向かいました。

歩くこと2〜3分。

すぐ近くに貧困層の住むコミュニティーがありました。

「長靴なんて履く必要ないのでは?」と思っていたのですが、スラム街の入り口に来てすぐにその理由が分かりました。

前日に雨が降っていたため、地面がとてもぬかるんでいたのです。

奥に進むにつれて、徐々に生臭い匂いが鼻を刺してきました。

「本当にここに人が住んでいるのだろうか?」と、ここまで来ても信じられませんでした。

ファストフードのごみの山から残飯を食べることも

入り口から少し奥に進んでいくと、住んでいる方がたくさんいました。

ごみであふれた路上。

この場所はフィリピンの最終ゴミ処理場となっているのです。

その中には、見慣れたファストフードのごみもたくさんありました。

案内していただいた施設のスタッフによると、この地域の人は、ごみの中から残飯を探して食べることもあるそうです。

 

それでも笑顔で生きている子どもたち

道中で、僕のカメラを見た子どもたちが笑顔で「Picture! Picture!」と声をかけてきました。

空気汚染、ごみの山、ドラッグ、食糧不足、栄養不足、病院や学校に行くためのお金の不足などなど、日本とは比べ物にならないくらい不自由なスラム街の生活環境。

貧困地域というと、不幸そうな人、悲しい顔の人が多いではないかという勝手なイメージを持っていたため、笑顔で声をかけてくる方が多かったことは想定外でした。

 

そこで感じた、先進国に生まれた人の使命

ここに住む人々は、どうしてこのような貧しい生活環境になってしまったのでしょうか?

僕は、「フィリピンのこの地域にたまたま生まれ落ちたから」なのではないかと考えました。この子どもたちも日本に生まれていたらもっと恵まれた生活ができていたと思います。

逆に、僕たちが日本で恵まれた生活ができているのは、「たまたま日本に生まれ落ちたから」だと思います。

「恵まれた生活ができている僕たちには、途上国の方々を助ける使命や、もっと頑張って生きる義務があるのではないか」という思いが芽生えました。

また、これまで「社会問題」というものにとりわけ興味があったわけではないのですが、社会問題の現実に直面して「解決したい」「少しでも貢献したい」と思わずにはいられない自分がいました。

僕にできることは、この問題を少しでも多くの人に知ってもらうために伝えていくことかと思い、この記事を書いたり、SNSで情報を発信したりしています。



僕がインターンシップをしているのはテレビ番組を作る会社です。

このインターンシップを頑張ることが、長期的に見れば彼らにとってもいい影響を与えられるのかもしれません。

それでも、今、目の前で起こっている山積みの問題に対して何もできない自分に無力さやもどかしさを強く感じた1日でした。

 

(本記事は2015年夏に執筆されたものです)

田中 康雅

田中 康雅

2017年度YouthSpeak Media編集長/NPO法人アイセック・ジャパン広報ブランド戦略担当/慶應義塾大学環境情報学部 大学では経営学と心理学を学び、若者のアイデンティティについて研究。 労働者のメンタルヘルスの問題を本質的に解決していく仕組みを創るために、産業保健の領域で幅広く活動している。

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