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実際に海外で働いて感じた『異文化理解』の本質【海外インターン体験記】【連載2】田中康雅

こんにちは!
フィリピンでインターンをしている田中康雅です。
今回は、実際に海外で働く経験を通して学ぶことができた『異文化理解』の本当の意味についてレポートします。


グローバル人材に必要な『異文化理解』とは?

グローバル人材には『異文化理解』が必要だとよく言われています。
文部科学省も「グローバル人材」に必要な要素として「異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー」を挙げています。

でも、ここで言う『異文化理解』とはどういうものなのでしょうか?

僕はこれまで『異文化理解』とは何なのか、分かったつもり、できているつもりになっていました。ですが、海外インターンシップを通して『異文化理解』というものに対する捉え方がガラリと変わりました。


日本人と全然違う!フィリピン人の働き方

海外の方は、言語も、生活環境も、宗教も、受けてきた教育も違うため、人々の価値観や、働き方も日本と異なるだろうと予想はしていました。
でも、実際に7週間働いてみると想像を超える違いがありました。

仕事とは関係のない日常会話をオフィスのあちらこちらでしている。
パソコンで作業しているのかと思ったら、突然歌いだし、はたまた踊り出す人まででてくる。
一度に複数のことをやろうとすると、4倍の時間がかかる。
常にお菓子を食べている。
などなど。

最初は僕のインターン先だけかとも思っていましたが、日本人駐在員の方のお話によると、フィリピン全体でこのような傾向があるそうです。
ある駐在の方はお菓子を食べている現地スタッフを注意したくてジーっと見ていたら、こちらを向いてお菓子を差し出し「ボスも食べる?」と言われたことがあるそうです。


『異文化理解』とは、相手の価値観を「許容する力」ではない

僕は『異文化理解』とは、異なる価値観を理解して「許容する力」であると思っていました。

そして、相手の価値観を許容しきれずにストレスを感じ、コミュニケーションをとることが億劫になってきている僕は『異文化理解』ができていないのだと思っていました。

しかし、フィリピンのNGOにて18年間お仕事をされているJFCネットワーク現地事務所 マリガヤハウス代表 河野尚子さんをインタビューさせていただき、その考えが違うということに気づきました。

ジャパニーズ・フィリピーノ・チルドレンという、フィリピン人女性と日本人男性の間に生まれた子どもが、父親から養育を放棄されるなどの理由で精神的、経済的に苦しい生活を余儀なくされているという社会問題に立ち向かっている方です。

河野さんはインタビューの時に、「日本で生まれ育って、土台となる価値観は日本のものが染み付いているのだから、フィリピン人の価値観を許容することはできない。私は18年間フィリピンにいても、未だにイライラする。」とおっしゃっていました。

「18年間、海外で仕事をしていても、文化や価値観の違いにイライラする」ということに、本当に驚きました。

そこで僕は、異文化を「許容する力」が『異文化理解』ではないということに気がつきました。「理解すること」と「許容すること」は似ているけれど違うと気づいたのです。

(マリガヤハウス代表 河野さん)


『異文化理解』の本当の意味

僕は『異文化理解』とは、自分の価値観と相手の価値観を理解した上で、お互いの価値観の間でうまく付き合っていく方法を探してコミュニケーションをとっていく力だと思いました。
自分が相手の価値観を理解するために話を聞くことだけでなく、相手に自分のことを理解してもらうために自分の価値観を伝えることも必要です。

「僕はこういう価値観だから、日本はこういう文化を持っているから、こういうことをされるのは困るのでこうしてほしいです。」としっかり伝えることが大切なのではないでしょうか。


日本でも、『異文化理解』を!

僕は海外インターンシップを通して、異なる価値観や文化との付き合い方を学ぶことができました。
そしてそれは、日本にいて、日本人同士でコミュニケーションをとる時にも大切だということに気づきました。

同じ日本人同士でも、価値観の違う人はたくさんいるはずです。
でも、「あの人とは価値観が合わない」と感じ、価値観の違う人とあまりコミュニケーションをとらなくなってしまう人も多いのではないでしょうか?

価値観が異なる人とコミュニケーションをとっていてストレスを感じることは当たり前です。
そのストレスをも楽しむくらいの姿勢で、自分と相手の価値観を理解し、うまく付き合っていく方法を探すために、まずは話しかけてみるという一歩を踏み出すことができるといいではないでしょうか。


(本記事は2015年夏に執筆されたものです)

田中 康雅

田中 康雅

2017年度YouthSpeak Media編集長/NPO法人アイセック・ジャパン広報ブランド戦略担当/慶應義塾大学環境情報学部 大学では経営学と心理学を学び、若者のアイデンティティについて研究。 労働者のメンタルヘルスの問題を本質的に解決していく仕組みを創るために、産業保健の領域で幅広く活動している。

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