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経営者の真価は実行してこそ発揮される。 「経営」の先に体感した自分自身の変化と新たな挑戦

「経営」という言葉を使うには、大学生は早すぎる。果たしてそうでしょうか。

昨今の日本社会では、若者のリーダーシップの必要性が盛んに叫ばれており、そのためには経営を若者の目線から語らなくてはならない、と私は感じています。しかし、自分の中での理解はまだまだ浅いため、今回は経営を「自分を省みる」や「自分を変える」に置き換えて、筆を取れればと思います。


これから私が「1人の経営者」であったこと、そして「真の経営者」であり続ける誓いを伝えたいと思います。

嶋田 真奈_プロフィール


自分を見つけたくて海外に飛び出した、大学1年の夏

私はアイセックという組織に入ってから、ずっと自分を変えようと四苦八苦してきた気がします。

生まれてから小学校4年間を除いて中学・高校を海外で過ごし日本にやってきた自分は、「帰国子女」という不可思議な区切り線の中にずっと立ってきました。昨今の社会では帰国子女は珍しくなくなりましたが、小学校の頃はある種虐げられるような扱いを受け、苦しんだこともありました。

一方、海外にいた頃は、私は何者なのか、という問いに何度もぶつかりました。それでも、多様な人の在り方を目にしながら、自分を見つめ直した結果、最後にぶち当たった壁は「日本人」であるという自分でした。そんな自分を見つめ直すため、日本の大学で学ぶことを決意しました。そこで出会ったのが、アイセックです。
私はアイセックを心底楽しみましたが、結局日本にいる自分像に違和感を感じ、夏には日本の外に飛び出していました。


誰かじゃない、自分が変わらなければ。

見渡す限りの雑居ビルー鼻で息をすることを拒まれるような異臭ー排気ガスで煤けた車たち。

私が1人、降り立ったのは夏のフィリピンの都市、マニラでした。マニラは、人口密度が世界でNo.1であり、その密集度により水害やゴミ問題で多くの人が苦しんでいます。また、衛生観念が低い、空気中の塵によりダニなどの虫・菌が多量に発生しているなど、多くの人が子供の頃から呼吸器系の病気にかかっています。私が挑戦したインターンシップは、こんな環境に生まれ、発達障害を持った児童達に美術を教えることでした。

例えば最初は、水害によって磨耗したビルで作られたスラム街に入り、住んでいる人々に会わせていただく機会がありました。私はそこで、多くの発達障害・身体障害を抱えながら暮らしている人々の姿を見て、話をしました。後から職員の方に話を伺うと、衛生環境と発達障害に直接的な関係はなくとも、結果的に思うような治療ができないのは、経済状況の芳しくない患者が自分の環境を変化させられないためだと仰っていました。

私はあまりに多くの問題が複雑に絡み合っていたため、途方に暮れました。最終的に何か子供達に行えないかと考えた結果、少しでも生活を楽しんでもらうために「娯楽ブック」を置いていくことにしました。娯楽ブックには、折り紙の手引きや水彩・油彩の手引きなどを記載し、子供達が自分の手作りの何かを家や病院に飾れるように、という願いを込めました。しかし、本質的な問題の解決には何も繋がっていなかった、といつも振り返って思います。

この活動を通して、社会の肩書きに囚われた力の無い自分と、何よりそんな自分自身を変えるチャンスを逃していたことに気づいた私は、自分から周りの環境を変えることの尊さに取り憑かれました。この波紋がどこまでも続いた先を見てみたい。そして私は自然と大学生活でアイセック活動に没頭していくこととなりました。


当時のインターンシップの様子を綴ったブログ


大学生活全てをかけた挑戦

インターンシップから帰国して4年生になるまで、アイセックの中で幾度もの機会に挑戦してきました。しかし、思うように成果が出なかったり、メンバーが途中で辞めたりと、私のアイセック生活は決して明るいとは言えないものが多かったです。そのため、今年度事務局の次長兼海外送出事業統括に就任した当時、初めて「統括」と名のつく役職を頂き、大変に緊張していたことを覚えています。特に同じ経営者7名のチームには法学部に在籍しながら会計・財務の知識に優れた人や、商学部で経営やマネジメントを大局的に学んできた人がいて、チームとはいえ、個人の能力・スキルで、自分が到底敵うような人たちではないと思っていました。しかしだからこそ、この1年に全てを掛けなければ、自分は変わった、と自信を持ってアイセックを辞められないとも思っていました。そのために、大学4年目のアイセックは、送出事業において成果を上げることと、送出事業局のチームを最後まで諦めずに追い続けようと心に誓っていました。


事務局送出事業局の仲間


失敗して、失敗して、また失敗?

しかし、4年目のスタートも思うようにいかないことばかりでした。まず、チームのメンバーの人数を思うように集められず、結果的には集まったメンバーに沢山の負担をかけてしまうような組織構造にしていました。また人的キャパシティの不足という壁だけでなく、他局との連携を図った戦略も思うようにマネジメントできていない自分がいました。

送出事業に3年間かけてきた時間が、こんなにも脆く早く進んでしまうものなのか、と悔しい思いでいた5月頃、秋期国内総会の統括をしないか、と声をかけられました。

自分のチームも思うように作れない自分に一体何ができるのか...
秋といえば送出事業にとっては勝負の時期です。そんな大事な時期に私がやってもいいものか...
と悩みはしたものの、咄嗟に「やりたい!」と声に出していました。そしてもう一度、自分を変えるチャンスが訪れることになります。


アイセック・ジャパンの「経営」に向き合う

NPO法人アイセック・ジャパンでは、連載第一回目にも記載した通り、年に3回、組織全体の方針を決定する国内総会を開催していて、全国25の委員会から約200名の経営層が集まります。これだけの規模を毎年行うため、毎回会計規模も企画規模も大きく、企画書・報告書・決算を作るだけでも多くの時間を要します。

何が言いたいかというと、国内総会とはとても1人ではなし得ない企画である、ということです。

現状、学生が経営・運営する組織における1番の課題はこの「企画→実行」の移行なのではないでしょうか。

大げさに言えば、理想を描き考えることは練習すれば誰にでもできます。しかしその計画を、最後の1粒まで伝え、実行することが難しい。学生の多くは既に体感済であるかもしれませんが、まさにこの「人の力を借りながら細かく実行し続ける」ということが、経営の真髄なのではないか、と考えました。

そしてこの「EXECUTE - 実行」を秋期国内総会の会期全体のコンセプトとしました。なぜなら、私自身がアイセック・ジャパン全体の経営者でありながら、自分が一番できていない、という自覚があったからです。自分から環境を変え、行動を起こし、周囲の人まで変化させる覚悟を持つこと。次代の経営層の未来に責任を持って5日間を作ること。そしてそんな若者たちが、何百人・何千人の未来を自分から変化し、変化を起こすこと。その全てに責任を持てるのか。正直、自信は全くありませんでした。だからこそ、コンセプトはシンプルに「経営」そして「実行」になったのだと思います。


2017年度秋季国内総会のコンセプト


私の経営者としての姿勢

結果的に何が残せたかといえば、形にはできないものばかりです。しかしあえて言うならば、この経験を通して1番変化を感じている点は、私の経営者としての姿勢です。

実は秋期国内総会最終日前日まで、知恵熱が出そうなほど目の前の人全員に向けて何を伝えるべきか悩みに悩み続け、結果迷走し、今までの人生を振り返って眠りにつきました。最終日当日、起き上がって準備も儘ならぬまま、周りの人にこれでいけるか、と聞きまくり、最後は魂を燃やすつもりでプレゼンテーションを行いました。その結果、多くの人から拍手と言葉を頂き、色紙を手渡された時には、清々しい気持ちで涙が流れていました。

私の経営者の姿勢を表すとすれば「七転び八起き」であると言えます。言い換えれば、最後まで食らいつく諦めの悪さです。どんなに転んだとしても、最後には起き上がることで、見える景色がある。それはまさに、「実行」し続けたものにしか見えない景色だったのだと今振り返って思います。



日本を担う次代のリーダーになるあなたと私へ。


今、この瞬間。文章を最後まで読んでくれたあなたへ。

私たちがもし、10代~20代だとすれば、今はチャンスです。この時を逃せば、おそらく自分を変えるチャンスは、そう簡単には訪れないのでしょう。今後、社会の変化は、益々目まぐるしく起こっていきます。それは時に猛スピードで、時に気づかないほどの速度でゆっくりと。私たちは大きな変化の波に呑まれるのでしょう。つまり今、自ら変革を起こさなければ、私たちは一生変われません。

この経験を通して「あなたは変わりましたか」と聞かれれば、以前は五分五分であった確率が、アイセックを通して60%はYesと言えるようにはなったかと思います。しかしながら、残りの40%は、未来の自分にかかっているとも思っています。


だからこそ、今声高に宣言します。

私は、30代でプロの経営者になるべく、社会の荒波に立ち向かいます。


私は、到底不可能に見える夢物語に挑戦する権利が全ての人にあると考えています。しかし、平和であるかのように見える日本社会では、夢を持つことさえ難しい。そんな日本を、全ての人たちが挑戦できる社会にするためには、若者に、着実に一歩ずつ夢の実現へと挑戦する経験を、自ら獲得できるような環境を用意しなければ、と考えています。

そんな私の人生のミッションは、誰もが自由に学べる場所を創ること。

アイセック・ジャパンでの経営は、私に先駆者たることを気づかせてくれた、人生の礎となるような経験でした。

嶋田真奈

嶋田真奈

2017年度特定非営利活動法人アイセック・ジャパン事務局次長 兼 送出研修事業統括 兼 秋季国内総会全体統括。 慶應義塾大学文学部卒業。在学中には教育学を専攻していた。2018年度春から社会人になる。UI/UXに注目しており、現在自分の専門性を高めている。

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