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フィリピンのNGOでの海外インターンシップで得た3つの気づき ーー明治大学 大島佑斗さん【Youth Interview】

2014年、大学2年生の春休みにフィリピンで海外インターンシップに参加した明治大学の大島佑斗さん。約6週間、スラム街の子ども達に教育を行うNGOで「ドラムを教える」活動をしてきました。

そのエピソードと、海外インターンシップを通して変化したことを伺いました。

スラム街の子どもたちに「ドラムを教える」

ーーはじめに、大島さんの参加された海外インターンの仕事内容を教えてください。

僕が行ったNGOは「知識を詰め込むための勉強」ではなく、「子どもたちの可能性を開花させるために教育をしよう」という哲学に則り、歌や絵、楽器や料理などを教えている施設でした。

僕の仕事は「ドラムを教える」ことでした。

海外インターン参加の動機は「教育への違和感」

ーーどうして、海外インターンシップに参加しようと思われたのですか?

自分の経験から、人生においてもっとも大切な「価値観」というものが他人の思想に従って形づくられ、その人自身のものではないというのが教育システムの現状だと思っていました。

そして、そのような教育に対する違和感を抱いていました。


そこで、恵まれない地域の子供はどのような教育を受けているのか見に行きたいと考えるようになり、海外インターンに行こうと思いました。

日本で一般的に言われている「教育」らしくないことをしている教育機関やNGOを探したところ、ちょうどフィリピンにそのようなNGOがあったため、そこに行くことに決めました。

「歌や絵、楽器や料理などに専門性を持っていること」が参加の条件だったのですが、高校時代に本格的にバンドでドラムをやっていたので、そういったことを活かせるなとも思いました。

仕事も生活も、最初は順調だった

ーーNGOではどのようなことをされていましたか?

最初の週は、NGOの教育を見学して学ぶことになっていました。

ところが、ドラムを叩ける人がなかなかいなかったので、さっそく教えて欲しいということになり、週の後半からすでにドラムを教えていました。


楽譜を読んでみようとか、実際に叩いてみようとか、世界の音楽を聴いてみようと言ってパンクロックを教えたり。(笑)

子供たちはドラムにめっちゃ食いついてきました。

フィリピンの生活も日本と比べたら不自由なことはたくさんあるのですが、ご飯もおいしかったですし、慣れたら全然問題なかったです。

生活面でも仕事面でも、そこまで困ったことはなくて順調でしたね。

「ドラムを教える」だけでなく、親への問題意識に挑戦

ーー海外インターン中で、最も苦労したことはなんでしたか?

海外インターンも折り返しを迎える頃に、インターンをしていたNGOの3周年式典がありました。

周りに住んでいる富豪を集めてイベントを行い、その中で子供達が歌やダンスを披露してNGOの活動を見てもらって寄付金を募ろうというものでした。

僕もそこに運営スタッフとして参加しました。

イベントは成功して、子供たちも物的援助もうまくいきNGOは潤いました。

でも、僕はそこでスラム街の子どもたちの親に対して問題意識を持ちました。
誰でも参加できるイベントで、スラム街の近くで行ったにもかかわらず、親が全然きていなかったんです。


それまで授業参観や発表会などでは、親が子どもの頑張っている様子を見て「すごいね」「がんばったね」と接することが当たり前だと勝手に思っていました。

ところが、フィリピンでは子どもたちは労働者という扱いを家庭で受けていました。

後日、親が迎えに来てNGOから帰る子どもがどこに向かうのかを調べたら、そのままゴミ山に行ってペットボトルを拾う作業に駆り出されていたのです。

親が子どもにあまり接しないことが子どもの発育によくないんじゃないか、それは本当に子供に対する愛なのかと疑問に思い、それを無視できない自分がいました。

普通にドラムだけを教えていればよかったのですが、そこからはこの問題も解決しなきゃと思って行動していきました。

試行錯誤の末の挫折と成長

授業参観、家庭訪問、クラウドファンディングなどを企画して、いろいろスタッフに提案しました。

ですが、スラムでは親が子供たちに愛情をかけないのは当たり前なので、誰も自分の問題意識に共感、納得してはくれませんでした。

周囲からは「3周年式典がうまくいって、今はNGOにお金があるから普通にドラムを教えてよ」と言われました。

本当に、親の問題へのアプローチは全然うまくいかなかったです。
睡眠時間も随分削ってやったのに、全然成功しないし、人も巻き込めませんでした。

「こうすべきだ」という正義感で動いていましたが、自分が人生をかけてできるかといったら、そこまでできないと思ってしまった自分もいました。

最終的には「この問題は自分が解決できる問題じゃない」という結論に行き着きました。

そんな状況の中でも、自分にできること、やりたいことはいったい何かを考えました。
そしてそれは、自分よりもっと専門的な力や問題意識を持っていて、この問題に立ち向かってくれる人を探すことだと思いました。

そこでこの経験を伝えるために、住んでいたスラムを紹介するプロモーションムービーを作りました。

 

やるべきだとは思っていても自分で出来ないことを捨てる勇気、そして自分が何をしたいかを見つめ直す視点が身につきました。
苦労したことであり、得たものでもあります。

海外インターンシップを通した3つの気づき

「教育への違和感」がきっかけで、フィリピンのNGOでスラム街の子どもたちに「ドラムを教える」インターンに挑戦。それだけでなく、親に対する問題意識に果敢に挑戦するも挫折。この問題に立ち向かう人を探すために、自分の海外インターンの動画を作成。 そんな大島さんが、海外インターンを通して得た「3つの気づき」とはなんなのでしょうか?

【1】「グローバルリーダーとは何か」に気づけた!

1つ目は、グローバルリーダーとは何かについて、1つの答えが出たことです。

フィリピンには日本で思っていたスラム街とは全然違う世界がありました。

スラム街にもネットカフェがあって、子供たちは自分の持っている少ない小遣いでそこへ行ってFacebookで遊んでいるんです。

今でもFacebookでメッセージが来ます。

少し富裕層の子供たちは、普及率は日本を上回っているんじゃないかというくらい、みんなiPadを持っていました。

スラムでも、デジタルネイティブという世代があるということに気づきました。

日本人のスラムに対する偏見とかビジネスにおける偏見はすごく大きいと思うんです。

グローバルに働くには「『何が』『なぜ』『どこで』起きているのか?」というものに気づく力と、問題や流行に対して、現地ならこんな手段が有効だろうというアイデアを出す力の2軸が大切だということを学びました。

グローバルリーダーの土台というものに気づけたのは、日本ではなくフィリピンで「海外インターン」をしたからこそだと思っています。

【2】「やりたいこと」と「やるべきこと」の重なる部分が見つかった!

2つ目は、自分が本当にやりたいことが見つかったことです。

もともとの動機は自身の抱いていた問題意識で、自分の「やるべき」と思うことや正義感だったんです。

でも、実際に全力でやってみて、解決できなくて、自分の本当の「やりたい」という気持ちがここにはないと気づきました。

解決できなかったのは、能力値が足りなかっただけじゃなくて、「本当にこれをやりたい、これだったら人生をかけられる」というものではなかったからだと思いました。

例えば、問題意識だけが優先してそのあとのキャリアで国際協力や教育機関に選んでいたら間違えなく折れる時がきたな、ということに気づけたのは良かったです。

逆に、僕がやりたいと思えて強みが活かせることって何だろうと考えて動画作りをやってみたら、周りの反響が良くて、それに自分が心地よさややりがいを見出すこどもできました。


自分の「やりたいこと」と「やるべきこと」がの重なる部分をこの海外インターンを通して見つけられたことはすごく大きな学びでした。

 

【3】人を信頼できるようになった!

3つ目は、人を本当の意味で信頼できるようになったことです。


今まで、無意識にあまり人を信用できず、薄い人付き合いばかりしてきました。

でも、海外インターン中に挫折を経験し、自分一人じゃ何にもできないということを知りました。

人をちゃんと信頼して、その人たちの協力を得ることで大きなことができるということを学びました。 


グローバルリーダーとは何かというものの土台と、自分のやりたいこととやるべきことの重なる部分が見つかったことと、人を信頼できるようになったところ。
この3つが一番大きな気づきでしたね。

「今」自分がベストだと思うことを、全力でやる

ーー最後に、これから海外インターンに挑戦する学生にメッセージをお願いします!

一番大切なのは、自分の中の変化や気づきをストレートに受け止めて自分を見直す勇気や、小さなプライドを捨てることだと感じています。

事前にどれだけ準備をして計画を練っていても、絶対に予想しないことが起きます。
そういう時に「ちゃんとその時々で自分がベストだと思うことを全力でやること」が大切だと僕は思っています。

「自分は昔こう思っていたからこうすべきなんじゃないか?」という、自分で敷いたレールに縛られてしまうのではなく、「今」自分がどうするべきなのかを考え、その時に自分が本当にやりたいと思ったことに対して真摯に向き合うことが自分の成長のために一番良いと思います。

そうすれば現地の社会にとっても良い影響があるでしょうし、自分の中での気づきもあると思います。

 

(※本記事は2015年に実施されたインタビューを元に執筆されたものです。)

<プロフィール>

大島佑斗[おおしま ゆうと]さん

明治大学 政治経済学部卒。アイセック明治大学委員会にて、1年次に営業活動、2年次に外部関係統括、3年次に広報ブランド戦略統括を行う。自身も2年の春休みに、フィリピンでスラム街の子どもたちへの教育を行うNGOにて海外インターンに挑戦。

YouthSpeak Media編集部

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YouthSpeak Media編集部。NPO法人アイセック・ジャパンのメンバーが中心となって運営しています。

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